セットアップオフィスとは?メリット・デメリット、費用、居抜きとの違いを徹底解説
オフィスの移転は、企業の成長フェーズにおいて重要な意思決定ですが、同時に多大なコストと労力がかかります。特にスピーディーな事業展開を目指すスタートアップやベンチャー企業にとって、内装工事や家具選定にかかる時間は大きな機会損失にもなりかねません。
そのような課題を解決する選択肢として、今「セットアップオフィス」が注目されています。
この記事では、セットアップオフィスの基本的な定義から、メリット・デメリット、混同されやすい「居抜きオフィス」との違い、さらには費用感まで、詳しく解説します。
1. セットアップオフィスとは?

セットアップオフィスとは、あらかじめ内装デザインが施され、デスク、椅子、会議室、場合によってはWEBブースやラウンジスペースなどの設備やオフィス家具が「セットアップ」された状態で貸し出されるオフィスの形態です。
入居する企業は、PCや業務に必要な機器を持ち込むだけで、すぐに業務を開始できるのが最大の特徴です。「デザイン・家具付きオフィス」と呼ばれることもあります。
2. セットアップオフィスが注目される背景
従来、オフィスを借りる際は「スケルトン(内装が何もない状態)」が一般的でした。しかし、近年、以下のような理由からセットアップオフィスの需要が高まっています。
- 事業スピードの加速: スタートアップの増加や事業環境の変化に伴い、オフィス開設までの時間を最小限にしたいというニーズが高まりました。
- 初期費用の最適化: 多額の内装工事費や家具購入費を抑え、その分のキャッシュを手元の事業資金(運転資金)に回したいと考える企業が増えています。
- 働き方の多様化: ハイブリッドワークやABW(Activity Based Working)の導入が進み、従業員が出社したくなるようなデザイン性の高いオフィス環境が求められるようになりました。
- 移転工数の削減: オフィスマネジメント専任者がいない企業でも、煩雑な移転プロジェクト(業者の選定・管理など)の負担なくスムーズに移転したいという要望があります。
- 移転工数の削減: オフィスマネジメント専任者がいない企業でも、煩雑な移転プロジェクト(業者の選定・管理など)の負担なくスムーズに移転したいという要望があります。
3. セットアップオフィスの4つのメリット
セットアップオフィスを選ぶことで、企業は具体的にどのような恩恵を受けられるのでしょうか。
メリット1:初期費用(イニシャルコスト)の大幅な削減
最大のメリットは、初期費用の圧縮です。 スケルトンオフィスの場合、内装工事費やオフィス家具の購入費が大きな負担となります。例えば30~60坪規模のオフィスでも、デザインや仕様によっては数百万円から1,000万円を超える費用が発生することも珍しくありません。 セットアップオフィスではこれらの費用が不要(または大幅に削減)できるため、手元のキャッシュを温存し、本業の成長投資に充てることが可能になります。
メリット2:スピーディーな入居と移転工数の削減
通常、スケルトンオフィスでは契約開始後に内装工事が始まりますが、セットアップオフィスは施工完了後を契約開始日にできるケースが多くあります。これにより、工事期間中に発生する旧オフィスとの「ダブリ賃料」を最小限に抑えることができます。
また、内装デザイナーや工事業者との打ち合わせ、デザイン選定、発注、進捗管理といった煩雑な移転業務(プロジェクトマネジメント)が不要になるため、担当者様の負担を劇的に削減し、本業に集中できる環境を維持できます。
メリット3:デザイン性の高い労働環境の確保
セットアップオフィスは、不動産のプロや内装デザイナーが現代の働き方に合わせてデザインした、洗練された空間が多いのも特徴です。 機能的かつ魅力的なオフィス環境は、そこで働く従業員の満足度(ES)向上に寄与するだけでなく、採用活動における企業のブランディングとしても強力なアピールポイントとなります。
メリット4:退去時の原状回復費用の削減(※)
スケルトンオフィスでは、退去時に内装をすべて解体・撤去して入居時の状態に戻す「原状回復」が義務付けられており、これが大きなコストとなります。 セットアップオフィスの場合、貸主(オーナー)が設置した内装や家具については、原状回復の義務が免除または軽減されるケースが多くあります。(※契約内容によりますので、契約時には必ず確認が必要です)
4. セットアップオフィスのデメリットと注意点
多くのメリットがある一方、セットアップオフィスには注意すべき点もあります。
デメリット1:レイアウトやデザインの自由度が低い
内装や家具が既に決められているため、自社のブランドカラーや独自の企業文化、特殊なレイアウトを完全に反映させることは難しい場合があります。「希望のレイアウトが作れない」といった事態も起こり得ます。
<Value Officeの強み> このデメリットに対し、Value Officeでは「セミオーダーメイド」に対応可能な物件もご用意しています。原則として定型的な内装ではありますが、物件契約時が未施工の場合、壁紙のカラーバリエーションや間仕切りの位置など、入居テナント様のリクエストを一部お受けすることが可能です。
デメリット2:月額賃料が割高になる傾向
内装や家具の費用が月額の賃料や共益費に上乗せされるため、周辺のスケルトンオフィスの坪単価と比較すると割高に設定されているのが一般的です。
ただし、初期費用の大幅な削減と、移転・内装工事にかかる期間(ダブリ賃料)を考慮し、例えば「3年間のトータルコスト」で比較した場合、結果的にセットアップオフィスの方が経済的になるケースも少なくありません。
デメリット3:オフィスの拡張・縮小が難しい
完成されたレイアウトのため、入居後に人員が急激に増減した場合、柔軟にレイアウトを変更して対応するのが難しい場合があります。
5. 他のオフィス形態との違い(比較)
セットアップオフィスは、他の類似したオフィス形態とどう違うのでしょうか。
(1) セットアップオフィス vs 居抜きオフィス

最も混同されやすいのが「居抜きオフィス」です。
共通点
どちらも内装がある状態で入居できる。
相違点
- 居抜き: 「前テナントが残した内装・家具」をそのまま(あるいは安価で)引き継ぎます。そのため、デザインの統一感がなかったり、クリーニングや一部修繕が必要だったりする場合があります。
- セットアップ: 「貸主(オーナー)が、新規入居者向けに内装を新設・リニューアル」しています。デザイン性が高く、清潔で高品質な状態で入居できます。
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(2) セットアップオフィス vs サービスオフィス(レンタルオフィス)
相違点
- サービスオフィス: 1名~数名単位での利用が主で、月単位など短期間での契約が可能です。受付サービスや共有会議室が付帯しますが、執務スペースは狭い傾向があります。
- セットアップオフィス: 数十名規模(例:30~60坪)での利用が主で、自社専用の執務スペースと会議室を確保する「賃貸借契約」(通常2年契約など)が基本となります。
【オフィス形態別 比較表】
| 形態 | 初期費用 | 賃料(月額) | 入居スピード | 内装・レイアウト | 原状回復 |
| セットアップ | 低 | 中〜高 | 早い | 既存(自由度低) | 軽減の場合あり |
| 居抜き | 低 | 中 | 早い | 既存(自由度低) | 原状回復義務あり |
| サービスオフィス | 最低 | 高 | 最速 | 共有・既存 | 不要(※) |
| 賃貸(スケルトン) | 高 | 中 | 遅い | 自由 | 原状回復義務あり |
(※契約形態による)
6. セットアップオフィスが向いている企業
これらの特徴から、セットアップオフィスは特に以下のようなニーズを持つ企業におすすめです。
- スタートアップ・ベンチャー企業: 初期投資を抑え、スピーディーに事業を立ち上げたい。
- 地方拠点・サテライトオフィス: 本社の管理工数をかけずに素早く拠点を開設したい。
- プロジェクトチーム: 期間限定のプロジェクトのために一時的な拠点が欲しい。
- 移転工数を削減したい企業: オフィスマネジメント専任者がおらず、本業に集中したい。
- 採用強化中の企業: デザイン性の高いオフィスで企業の魅力をアピールしたい。
7. まとめ
セットアップオフィスは、「初期費用」「入居スピード」「移転工数」といったオフィス移転における大きな課題を解決する、現代のビジネス環境に適した選択肢です。
もちろん、デザインの自由度や賃料といったデメリットもありますが、それらを理解した上で自社の事業フェーズやニーズ(特に「数十名規模」で「スピード重視」)と合致するかを見極めることが重要です。
Value Officeでは、デザイン性と機能性を両立させた都内のセットアップオフィス物件を多数取り扱っております。一部セミオーダーメイドが可能な物件もございますので、オフィス移転でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。


