オフィス移転のコストを削減するには? 費用を抑えるポイントを紹介

テレワークの浸透で従業員の働き方が多様化している昨今、オフィスのあり方を見直す動きが広がっています。しかし、オフィスの引っ越し作業を経験する機会はあまりないため、コストが気になる方も多いのではないでしょうか。この記事ではオフィス移転の際のコスト削減ポイントについて詳しく解説し、おすすめの方法についてもご紹介します。

オフィス移転時にかかる費用

働き方の多様化などに対応するため実際にオフィスを移転させようとする場合、必要となる費用にはどのような種類があるのでしょうか。ここでは、主な3つの費用についてご紹介します。

原状回復工事にかかる費用

まず、オフィスを新たな場所へ移転させる前に、現在のオフィスを契約した当時の状態に戻す必要があるでしょう。この工事のことを「原状回復工事」と呼びます。通常、住居の場合は契約期間が終わるまでは原状回復作業を求められず、契約期間終了後に行われることが普通です。一方で、オフィスとなると、借主であるテナントによって使い方が大きく異なり、原状回復までにかかるコストや期間が様々になります。そのため、オフィスの賃貸契約時には、いつ、どのように、どの程度まで原状回復させるのかといった取り決めを貸主と交わしておき、それに基づき原状に戻した上で物件を返却するのが一般的です。
なお、ゼネコンやビル管理会社が原状回復工事を行う場合は、1坪あたり4万円から10万円ほどかかることもあります。

移転先の内装工事にかかる費用

また、移転先となるオフィスには、通常、エントランスや看板類、会議室など、まだ設備も内装もありません。貸主とはあくまでそのスペース(空間)を貸すだけの契約を交わし、借主側は自社が必要と考える設備や内装の工事を自ら手配する必要があります。内装工事の坪単価は大体15万円から50万円ほどですが、元の物件の形態やテナントの種類、デザインのこだわりなどによって、内装工事費は大きく変わってきます。ここは自社の予算を考慮しながら、どのくらい内装の造作に費用をかけられるのかを事前に調査・確認しておく必要があるでしょう。

引っ越し費用

住居と同様に、オフィスにも多くの備品や荷物が存在します。例えば書類やパソコン、プリンターなどは事業運営に欠かせない物品です。それらを新しいオフィスへ移動させなければならないことから、いわゆる引っ越し費用も発生します。通常、社員1人あたり3万円ほどが相場とされます。
ただ、この相場も1年中同じではなく、時期によって変化することに注意しなければなりません。早ければ2月、ピークとして3月から4月は、どの引っ越し業者も1年で最も忙しい繁忙期となります。そのため、それ以外の時期と比較すると、引っ越し費用が高騰しがちになり、思わぬ出費につながりかねません。

オフィス移転のコストを抑えるポイント

オフィスを移すためには先述したようなコストが発生しますが、これらをできるだけ安く済ませたい場合、どのようなポイントがあるでしょうか。

旧オフィスの備品を再利用する

まず、移転前のオフィスで使用していた什器類のうち、まだ使えるものがあれば、積極的に新しいオフィスでも利活用することです。とくにデスクや椅子、棚などのオフィス家具は、全て新調するとなると高額になってしまいます。備品の状態をよく見た上で、問題なく使えるのであればそのまま新しいオフィスへ移動させ、不要な備品などはリサイクルに出す方法もおすすめです。廃棄となると専門業者に依頼するしかなく、それだけで新たに廃棄のためのコストもかかってしまうため、リサイクルで引き取ってもらった方が有利になるケースが多いです。

移転先の内装工事費を抑える

オフィス移転にかかるコストで、原状回復工事費用や引っ越し費用については、必要な金額がある程度決まっており、削減の対象にしにくい項目です。ただ、新しいオフィスの内装工事費については、デザインやインテリアをできるだけシンプルにすることで、安価に済ませられる可能性があります。また、資金上の問題でまとまった予算がとれない場合、業者へ委託するのではなく自前でデザインを考えたり、備品を製作したりするといった選択肢もあります。さらに、コストのかかりやすい什器や備品を、インターネット上で中古品を探したりすることで、よりコストを抑えることが可能となります。

敷金・礼金がかからない物件を探す

住居用の賃貸物件とは少し異なり、オフィス物件を借りる際に礼金の慣習はあまり見られませんが、敷金は設定されていることがよくあります。
そもそも礼金とは、賃借人が賃貸人に対して契約時に支払う慣例的なお金です。また、敷金は一般的に保証金とも呼ばれ、借主が貸主に交付する債務保証担保のことを指した用語です。敷金は契約時に支払う必要があり、借主にとっては大きな負担になることが想定されます。そのため、敷金として賃料の何ヶ月分が設定されているのかをあらかじめ確認し、できるだけ安い敷金が設定されている物件を選ぶことで、初期費用を抑えられるでしょう。

フリーレントを活用する

「無料」という意味の「フリー」と、「借りる」意味の「レント」を組み合わせた「フリーレント」。コスト削減にはフリーレントがついている物件を選ぶのも、有効な方法です。ただ、全契約期間を通じて無料なのではなく、例えば最初の1ヶ月など一定期間の無料期間を設けている物件と考えればよいでしょう。
フリーレントのオフィス物件には、様々なメリットがあります。例えば通常のオフィスの引っ越しでは、元の物件と新しい物件の契約が重なる期間がどうしても発生してしまいます。しかし、フリーレントであれば、期間自体が重なったとしても、引っ越し先の費用がかからずに済み、無駄なコストが発生しません。そのため、余裕をもって引っ越せるといったメリットも挙げられます。

IT化などで固定費を削減する

IT化などで固定費を削減する

自社で構築・運用するオンプレミス環境でサーバーなどの情報システムを利用している企業はまだ多く見られます。しかし、自前でシステム管理する場合、構築や管理にかかるコストや減価償却費など、様々な固定費がかかります。もし、オフィス移転のタイミングでコスト削減に着手したい場合は、思い切ってシステム環境を見直し、クラウドサービスへ移行するのも一案でしょう。昨今はクラウドサービスも多くの種類が提供されており、初期費用を抑えつつ最新のテクノロジーを利用できたり、高いセキュリティを確保できたりするため人気が高まっています。
また、昨今はテレワークの浸透により、紙媒体で保管されている書類をデジタル化して、ペーパーレスに取り組む企業も増えています。書庫など、物理的な書類の保管スペースを他の用途に使えるため、ひいてはオフィス賃料の節約につながるのでおすすめの方法です。

セットアップオフィス(内装付き物件)を利用する

セットアップオフィスとは、いわゆる内装付き物件のことを指します。貸主であるオーナーが、あらかじめ物件の内装を造作しているのが特徴で、借主は内装工事費の負担を軽減できるメリットがあります。前述したように、内装工事は他のコストと比べて比較的コスト削減しやすいカテゴリです。しかし、セットアップオフィスであればさらなる削減が可能になるでしょう。たとえ賃料が高めであっても、契約期間が2年から3年であればコスト面で有利になりやすいです。普通のオフィスへ移転し、自ら内装工事会社へ発注するよりはコストがかからず、本来の注力すべき事業へリソースを集中できるのがメリットです。

コスト削減なら居抜きオフィスがおすすめ!

一般的に、店舗や飲食店でよく耳にする「居抜き」とは、内装や家具などをそのままの状態で次のテナントに引き渡すことを指します。オフィスの場合も「居抜きオフィス」が存在し、近年注目を集めています。

通常、借主にはオフィス移転の前に、原状回復義務が発生します。しかし、オフィスのレイアウトは廊下や会議室など、テナントが変わっても同じようなものになりがちです。それに、新調すれば高額となるはずの什器や設備が備わっている場合、貸主に相談した上で承諾が得られれば、そのままの状態で次の借主へ引き継げます。つまり、現在の借主にとって、原状回復費用や、古い什器などの処分費用が抑えられるという利点があります。

同時に、次の借主にも、内装工事などの初期費用を大幅に抑えられる物件として非常に人気があります。居抜きオフィスを契約すると、什器や備品などを前のオフィスからわざわざ運び込まずに済み、引っ越し費用もかさまずに済むでしょう。入居までの工事期間を減らせるため、前のオフィス賃料と新しいオフィス賃料の二重払いが不要になりやすいことは大きなポイントとなります。本来、入居までに必要であった工事の工程を短縮できることで得られるメリットについては、後述します。

入居工事期間も短縮できる

通常、オフィス物件を契約して移転すると、什器もインテリアも何もない状態から内装工事を行うことになり、実際に移転して業務ができるまでにはどうしても一定の期間がかかってしまいます。もちろん、工事期間中も賃料は発生していますが、このコストを削減できるのが「居抜きオフィス」です。居抜きオフィスの場合、すでに貸主が内装工事を終わらせてくれているため、早ければ契約したその日から、オフィスとして利用し業務もできます。入居までの工事期間を短縮できると、前述したように新旧オフィスにかかる賃料の二重払いも免れられるため、大きなコスト削減につながるでしょう。

業務のイメージもできる

これまでご紹介したセットアップオフィスや居抜きオフィスの物件では、どちらもすでに内装工事が済ませてある点が共通しています。契約前に内装が出来上がっていれば、「あらかじめ室内を実際に見て確認できる」メリットも生まれます。
オフィスを移転させることで、従業員がどのように働くことになるかについて具体的にイメージを膨らませながらオフィスの選定ができるため、後から発生しがちな見込み違いなどのトラブルは少なくなるでしょう。通常の賃貸物件であれば、契約前になかなか見えない部分も、実際に目で見て確認した上で契約できることから、移転先でもスムーズに業務を進められるのがポイントです。
セットアップオフィスや居抜き物件のみを複数選択して、レイアウトや内装デザインと予算を比較検討することで、自社により合った物件が見つかる可能性が高まります。昨今はそうした需要も大きくなってきていることから、「居抜き物件として貸し出したい」と希望する貸主も多く存在しています。

居抜きオフィスの例

では、居抜きオフィスとは具体的にどのような空間なのか、実際の事例を使って2件ご紹介しましょう。

東京都千代田区のセットアップオフィス

交通の便もよい、千代田区外神田にあるセットアップオフィスは約60坪で、フリーアドレスに対応した物件です。スタイリッシュな広い空間は複数のスペースに分けられ、窓際のハイカウンター席や4人掛けテーブル、円形ベンチなどがゆったりと配置されているため、いつでも好きな場所で仕事ができます。少人数用会議室も用意されているため、ミーティングも可能です。所々置かれた観葉植物も仕事の合間にリラックス効果を高めてくれるでしょう。ランチタイムや休憩時間には、屋上テラスに上がると気持ちがよさそうです。
参照 千代田区のセットアップオフィス

オフィスを移転させる際には様々なコストがかかるため、負担が大きくなりがちですが、このように、セットアップオフィスや居抜き物件をうまく活用すると大幅にコストを抑えられるでしょう。

まとめ

昨今、多くの企業でテレワークが普及してきています。また、執務席に余剰ができたため、オフィス面積を最適化したいという要望をもつ企業も増えています。
しかし、フリーアドレスなどにも対応したオフィスへ移転する際には、大きなコストが負担としてのしかかります。そこで、コストを抑えるおすすめの方法として、セットアップオフィスや居抜きオフィスの活用が注目されています。内装工事費を浮かせられるほか、オフィス賃料を二重で支払う期間をなくせたり、入居工事期間も短縮できたりするメリットがあります。
居抜き・セットアップオフィスへの移転に特化したValue Officeなら、実際の内装を見ながら物件を選定できます。広さやデザイン、予算など総合的な条件を見ながら、気になる物件があれば気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。