オフィス内装工事の基礎知識 進め方や内容、費用相場
オフィス内装にこだわることで、従業員のモチベーションアップや業務効率の向上、さらにオフィス来客者に対して企業のイメージアップが期待できます。この記事ではそんなオフィス内装工事に関する基本知識や内装工事の進め方、費用、内装工事を成功させるポイントなどについて解説します。
オフィス・事務所の内装工事の内容とは?
オフィスの内装工事は、壁や天井、床といった基本部分以外に電気・空調などの設備工事、配線工事、セキュリティ対策のための工事など多岐にわたります。まずは主な内装工事の内容について解説します。
基本設計に関わる内装工事
基本設計に関わる内装工事には、壁や天井を設置する軽鉄工事、間仕切りを設置して部屋を増やすパーティション工事、さらに足場づくりや養生といった準備段階の仮設工事などがあります。
一般的に壁や天井は軽量鉄骨で下地をつくり、防音性や耐火性に優れた石こうボードを貼り付けて形にしていきます。パーティション工事は新たに壁を設置する軽鉄工事よりも防音性に劣りますが、工期が短く、費用が抑えられるのがメリットです。また、パーティションには固定式・可動式があり、可動式であれば将来レイアウト変更するときや移転する際に再利用できます。
電気や空調設備などに関する電気工事
電気工事は従業員が快適かつ集中して働ける環境づくりに必要な照明やエアコンを整備する工事です。たとえば、照明は従業員数やデスクの配置に合わせて適切な数を適切な位置に設置しなければなりません。空調においてもオフィスの広さに合った空調機やエアコンの取り付けが必要です。
また、職場ではパソコンやプリンター、電話などさまざまな電気機器を使用しますが、電源の配置が計画的に行われていないと使い勝手が悪く、作業効率に影響をおよぼすおそれがあります。電気工事ではさまざまな費用が発生するため、予算のすり合わせをきちんと行うことも欠かせません。
配線やセキュリティなどその他工事
監視カメラや入退室管理システムといったセキュリティ対策のための工事は、機密情報の漏えいを防ぎ、従業員を侵入者から守る上で重要です。ただし、エントランスなどの共用部のセキュリティ強度は物件によって異なるため、共用部の監視カメラの数や配置は物件探しの時点で確認しましょう。
また、社内ネットワーク構築に必要なのがLAN回線の配線工事です。設置するパソコンの台数やルーターの配置などを考慮した上で業者と打ち合わせを重ねて任せましょう。ほかにも「会議室でビデオ会議をしたい」などの要望があれば、業者に相談してみましょう。
塗装やクロス貼りなどの仕上げ工事
仕上げ工事は、塗装工事、クロス工事、建具工事、ガラス工事、家具工事といった職場の見た目や居心地に関わる大事な工事です。これらを担う内装業者は、内装会社、リフォーム会社、ハウスメーカー、デザイン設計事務所などがあり、会社によって仕上がりや費用に差があります。そのため、業者選びは慎重に行う必要があります。
オフィス・事務所の内装工事の流れ
内装工事は一般的にコンセプトを決めることから始まり、業者選び、レイアウトの設計、工事の着手、インフラ整備、家具の設置、引き渡しといった流れで進んでいきます。それぞれのステップについて詳しく解説します。
目的やコンセプトの決定
まずは工事を行う目的と内装のコンセプトを決めます。これらが明確であれば無駄な工事費用が抑えられ、来客者に対して自社の魅力をアピールできて企業ブランドの強化につながります。たとえば、環境問題に関わる企業であれば、フェイクグリーンや観葉植物を多数配置し、緑を基調としたインテリアにすることで視覚的に企業理念を伝えられます。また、コンセプトを明確にしておくことで業者との間で生じるイメージのズレを回避するのにも役立ちます。
内装デザイン・施工を依頼する業者選び
内装デザイン・施工を手がける業者ごとに得意とするところは異なります。そこで業者選びではオフィスの内装に特化した実績や知識のある業者を選びましょう。
また、自社のコンセプトを理解してくれる業者を選ぶことも重要です。手がけた工事事例の中に自社が理想とするイメージと似通ったものがあれば、自社のコンセプトをスムーズに理解してもらえる可能性が高いです。さらに担当者とやり取りをする中でレスポンスの速さや質問に対しての回答から今後、信頼関係を築けていけるかどうかを判断することも大切です。
内装デザインやレイアウトの設計
業者が決まったら内装に関する要望やイメージを設計担当者に伝え、双方のイメージをすり合わせていきます。ただし、イメージを言葉だけで伝えようとすると、どうしても抽象的に伝わってしまいます。たとえば、「ナチュラルなデザイン」といっても木目調やブラウン系の色味を基調としたデザインをイメージする人もいれば、花や植物をモチーフとしたグリーン系のデザインをイメージする人もいます。このようなズレを回避するために、具体的なイメージと近い参考となる画像や動画をなるべく多く用意しておくとよいでしょう。
内装工事の着手
デザインが固まり、見積金額や設計プランに納得して契約を締結したら工事が始まります。規模にもよりますが、一般的に内装工事にかかる期間は1~3カ月ほどです。工事期間中は週1~2回程度現場に足を運び、工事が予定通りに進んでいるかを確認しましょう。こまめに現場へ足を運ぶことで、たとえば壁紙がイメージと違っていた場合も早い段階で業者と相談することで変更できることがあります。
各種インフラ整備・オフィス家具の設置
ある程度内装工事が進んだら、水道・電気・ガスなど各種インフラの整備が行われます。この段階ではまだ引き渡し前ですが、レイアウト設計に基づいて家具を配置し、引き渡し後すぐに業務が始められるように準備しておきましょう。新しい家具を購入する場合には選定する時間や家具が届くまでの時間を考慮し、家具を選びましょう。
オフィス・事務所の引き渡し
着工後に業者と内装に不具合がないか最終チェックを行います。確認項目は床材や壁紙に汚れや傷はないか、ドアや窓の開閉がなめらかか、電気や空調設備が正常に作動するかなど、細かい部分までしっかり確認しましょう。この段階で不具合を見落としてしまうと、気づいたときに追加工事費として別途料金が発生することがあります。
オフィスの内装工事の金額感
オフィスの内装工事にかかる費用は、坪単価10~20万円、こだわりが多い場合は30万円以上が相場とされています。ただし、費用はオフィスの広さや立地、物件の状況によって大きく変わります。通常の内装業者であれば、こちらが提示した予算に収まる範囲で見積もりを組んでくれることがほとんどですが、もしも予算をオーバーするようなら、自社にとって重要度の低い箇所については素材や設備のグレードを下げるか、シンプルなデザインにするなどの工夫が必要になります。
オフィスの内装工事を成功させるには?
オフィスの内装工事を成功させるためには、利用イメージを考えて設計すること、設計から施工まで一括で引き受けてくれる業者に依頼すること、実績豊富な業者を選ぶこと、複数の業者から見積もりを取って比較することが重要です。それぞれの詳細は以下のとおりです。
オフィスの利用イメージや使い勝手を考慮する
コンセプトや方向性が曖昧なまま工事をしてしまうと、「やっぱりこうすればよかった」と後悔する可能性が高いです。内装工事で失敗しないためには、移転後の使い勝手や運用面を考慮して設計することが重要です。そこで移転前の職場で不便に感じていること、改善したい点を洗い出し、それらが解決できるようなレイアウトを考えましょう。
レイアウトはコンセプトや使い勝手のイメージを明確化し、ワークスペース、会議室、休憩スペース、エントランスといった具合にオフィスをゾーンで分け、それぞれの場所が従業員にとって使いやすい空間になるように考えていきます。このとき、デスク同士の距離や動線が適切かどうかも重要です。たとえば、通路幅約1.2m以上あれば大人二人がすれ違っても支障ありません。また、デスクを背中合わせに設置した際には、背中合わせになったイスの接触を防ぐためにも最低1.8mは確保しましょう。
ワンストップで対応できる業者に依頼する
業者を選ぶ際には、デザインから施工までワンストップで対応できる業者に依頼しましょう。設計と施工を別々の業者に依頼すると、その分コストが高くなったり、イメージと異なる仕上がりになったりすることがあります。
ただし、依頼内容によっては施工する場所ごとに業者が異なることがあります。このようなケースでは各業者との打ち合わせが必要になり、手間がかかる上に日程の管理が難しくなります。業者とのやり取りの手間を軽減し、余分なコストをかけないためにも、なるべく設計から施工まで一貫して頼める業者を選びましょう。
実績が豊富な業者を選ぶ
信頼できる業者を見極める上で特に重視したいのが実績の豊富さです。多くの業者は自社のホームページで施工事例を紹介しており、事例件数が多いほど一定の技術力があると判断できます。また、内装工事を請け負っている業者はそれぞれに得意分野があるため、どのような業態の施工事例が多いのかにも着目しましょう。
例を挙げるとオフィスと飲食店ではレイアウトや設備が全く違います。オフィスの内装工事であれば、オフィス内装工事の専門業者に依頼するのが一番です。このような業者は快適なオフィス設計に必要なポイントを知り尽くしているため、判断に悩む場面も適切なアドバイスや提案をしてもらえるでしょう。
複数の業者に見積もりを取って比較する
優良そうな業者が見つかったとしてもすぐに依頼してはいけません。めぼしい業者を複数見つけてそれぞれに見積もりを取り、比較することが大切です。最低でも3、4社から見積もりを取り、費用や業者の特徴などを比較して自社の条件やニーズに一番合う業者を検討しましょう。中には相場よりも高すぎる金額を提示してくる業者や、明らかに安すぎる金額を提示してくる業者が存在するため、1社からの提案をそのまま受け入れてしまうと工事費用が相場と比べて妥当かどうか判断できません。また、複数の業者に見積もりを依頼することで、自社のニーズをくみ取り、信頼できる業者が見つかる可能性が高まります。なお、見積もりを依頼する際は、正確に比較できるようすべての業者に同じ条件を提示しましょう。
セットアップオフィスや居抜きオフィスでコスト削減
紹介してきたように内装工事にはそれ相応の費用と時間がかかります。内装工事の費用と手間をできるだけ抑えたいのであれば、セットアップオフィスや居抜きオフィスという選択肢もあります。
それぞれの特徴と、なぜこの選択肢だとコスト削減ができるのか、その理由について解説します。
内装工事が不要なセットアップオフィス
セットアップオフィスとは、物件のオーナーが事前に内装工事を施した状態で貸し出しているオフィス物件のことです。壁や天井、床、電気設備などの内装がすでに完成されているため、借り主は内装工事を行う必要がなく、契約から短期間での入居が可能です。また、工事費用がかからないため、初期費用を抑えて事務所の移転や新規開設ができるメリットがあります。どのような業種にも受け入れやすい典型的なデザインを採用している物件がほとんどですが、業者によっては内装デザインの一部を決めることができるセミオーダー可能な物件もあります。
最低限の内装工事で済む居抜きオフィス
居抜きオフィスとは、前の入居者が使っていたレイアウトや家具、電気設備などが残した状態で貸し出されるオフィスのことです。通常は物件を退去する際に家具や設備などを撤去して原状回復する必要がありますが、居抜き物件では退去時の原状回復が不要です。そのため、次の借り主にとっては内装工事のコストを節約できたり、入居までの期間を短縮できたりするメリットがあります。また、セットアップオフィスは内装が整っている分、賃料相場が高めですが、居抜きオフィスの賃料は比較的安く抑えることができます。
まとめ
オフィス移転に伴う内装工事には相応の時間とコストが必要です。「コストや入居までの期間を減らしたい」「おしゃれで機能的な事務所で仕事がしたい」という企業の方は、Value Officeでセットアップオフィスや居抜きオフィスを探してみてはいかがでしょうか。Value Officeでは人気のセットアップオフィスや居抜きオフィスの物件情報を数多く紹介しています。