オフィスに必要な什器とは? 選ぶポイントや移転時の注意点

オフィス什器とは、企業に必要な備品や家電、家具などのことです。一般家庭で使われる家具という言葉との違いは、什器がオフィスで日常的に使われている道具や家具全般を指す言葉であり、デスクやチェアなどのオフィス家具はもちろんのこと、金庫や受付カウンターなども含む点です。この記事では、オフィス什器の選び方に触れながら、オフィス移転時の注意点を紹介します。

オフィスに必要な什器とは? 選ぶポイントや移転時の注意点

オフィスに必要な什器にはどのような物があるのか?

オフィス什器とは、企業で必要なあらゆる道具や家具、家電などを指す言葉です。ここでは、オフィスに必要不可欠な什器を種類ごとに解説します。

1. オフィスの必需品となるデスクと椅子

業務を行うために必要不可欠なデスクや椅子。従来は部署やチームで机を寄せ合い、向かい合って座る「島型レイアウト」が主流であったため、必要なデスクや椅子もある程度サイズやデザインなどが規格化される傾向もありました。しかし、近年はアジャイルオフィスやフリーアドレスなどの普及により、導入するデスクも企業によってさまざまです。大人数用のテーブルや個人作業用のカウンター、ミーティング用のローテーブルなど、用途によって数種類のデスクを配置するケースも少なくありません。

また、執務室の椅子は業務の生産性を左右する重要なポイントです。従業員は多くの時間を執務室で過ごすため、座り心地の悪い椅子だと体の不調やストレスなどの原因になりかねません。椅子を選ぶ際はデザイン性と機能性を兼ね備えた、質のよい物を選ぶことが大切です。

2. 書類を1ヶ所にまとめるための本棚

資料を保管したり、整理したりするためには本棚が必要です。リモートワークの普及により多くの企業でペーパーレス化が進んでいるものの、過去資料の共有や電子化できない重要書類などで、まだまだ紙資料を使っているケースも多いのではないでしょうか。

紙資料はひと目で情報全体を見渡せるメリットがありますが、「ファイルが多く必要な情報がどこにあるのかわからない」「誤って紛失してしまった」などの不具合が起こることもあります。書類の置き場所がわからなくなってしまうとセキュリティ面でのトラブルが発生する可能性もあるため、本棚などで1ヶ所にまとめておくのが望ましいでしょう。

3. 物理的に空間を仕切るパーテーション

パーテーションは広い空間を分割し、ミーティングや会議などを行う時に役立ちます。特に、近年はリモートワークの普及により、オフィスをより柔軟性の高い空間につくりかえる企業が増えています。会議室やミーティングルームなどの部屋をそれぞれ確保するのではなく、仕切りのない広い空間をパーテーションで区切り、用途によって使い分けるケースも少なくありません。

パーテーションは防音性の高い物やホワイトボード付きの物、天井付近まで遮れる背の高い物などさまざまなタイプがあります。「会議用にホワイトボード付きを、ミーティングエリアには防音機能のある物を導入する」といったように、用途によって適切な物を導入するとよいでしょう。

4. デスク下のスペースを有効活用できるワゴン

執務室は、パソコンの配線や書類、周辺機器などでどうしても雑然とした空間になりがちです。個人ロッカーもスペースに限りがあるため、私物や仕事に使うアイテムをしまう場所が少なく悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

デスク下に収納できる小型のワゴンは、デッドスペースを活用して小物をしまうのに最適です。可動式の物やA4ファイルを立てて収納できる物などさまざまなタイプがあるので、既存のデスクに合うサイズ感で機能性の高い物を選ぶとよいでしょう。また、デスクの横に置くサイドワゴンと呼ばれるタイプもあります。

5. 重要な物を保管しておく金庫

会社にとって重要度の高い書類などを安全に保管するには、金庫が欠かせません。気軽に導入できる小型の物や手提げ型の物などもありますが、セキュリティ性に欠けるため、重たく頑丈な据え置きタイプがおすすめです。火災に強い耐火金庫や、盗難防止を重視した防盗金庫などを選ぶとなおよいでしょう。

丈夫で機能性の高い金庫は、万が一事件や災害などが起こった場合でも、企業にとって大切な情報を守ってくれます。ただ安価な物を選ぶのではなく、容量やスペックなどを確認し、慎重に比較検討することが大切です。

6. 来客の際に必要な応接セット

応接室は、取引先や顧客を招く重要な場所です。企業の意思決定を行ったり、重要な項目を決めたりする部屋でもあるため、ほかの部屋よりも落ち着いた内装でまとめ、重厚感のある空間に仕上げることもあります。企業イメージや求める応接室の雰囲気などによって導入設備は異なり、親しみやすい簡易的なタイプから本格タイプまで、さまざまな物があります。

応接室は、外部の人が目にする数少ない部屋であるため、オフィスの印象を決定しやすいと言われています。どのようなデザインを採用する場合でも、部屋全体に統一感を持たせることがポイントです。あらかじめセット販売されている家具や、同じシリーズのインテリアなどを選ぶと失敗が少ないでしょう。

オフィス什器を選ぶ際のポイント

オフィス什器を選ぶ際はどのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。ここでは、使い勝手のよいオフィス家具や空間にあったデザインなどを選ぶコツを紹介します。

オフィスの広さに合わせたサイズを選ぶ

オフィス什器はメーカーや商品によってさまざまな大きさの物があります。近年はインターネットやカタログなどで購入するケースも多いですが、しっかりとサイズを確認したうえで適切な物を選ぶことが大切です。必要以上に大きい物を選んで空間に圧迫感が生まれてしまったり、想定していたよりも小さく使い勝手が悪くなってしまったりする失敗も見受けられます。

また、オフィスは消防法や建築基準法、労働安全衛生法などによって最低限の「基準寸法」が定められています。通路の幅やデスク間などが狭すぎるとそれらの法律に触れてしまう可能性があるため、しっかりとスペースを確保したうえで適切なサイズの什器を選びましょう。

【一般的な通路幅の基準寸法】
・大人ひとりが通行する通路:60cm〜
・大人ふたりがすれ違う通路:120cm〜
・車椅子が通行する通路:75cm〜
・デスクとデスクの間の通路:90cm〜
・デスクを背面合わせに設置した通路:180cm〜

オフィスの雰囲気に合わせたデザインを選ぶ

床材や壁紙、インテリアなどに統一感を持たせても、什器の雰囲気がそれらに合っていないとまとまりのある空間になりません。スタイリッシュ、ポップ、カジュアルなど、企業のイメージや目指す内装デザインに合う物を選びましょう。

例えば、カフェテイストの落ち着いた内装を目指す場合は、木目調のオフィス家具やシンプルな備品などがおすすめです。シックで重厚感のあるオフィスにしたい場合は、ダークカラーのデスクや革張りのソファなどを導入するとよいでしょう。あらかじめデザインのコンセプトをしっかりと決めておくと、什器のディテールを決めやすくなります。

職種ごとに必要な機能で選ぶ

営業職やデザイナー職、事務職など、職種によって什器に求める機能性は異なります。例えば、前述した執務室などで、パソコンでの個人作業が多い職種は長時間の業務に耐えられる快適な椅子、多くの資料やディスプレイを使う業種はある程度広いデスクなどが必要です。また、会議やミーティングが多い場合は、ソファやローテーブルなど、充実した応談スペースが必要でしょう。まずは業務の特徴や、既存オフィスの問題点などを把握したうえで、適切な機能性を持つ什器を絞り込むことが大切です。

オフィスの什器はレンタルと購入のどちらを選択すべきか?

オフィス什器は全て新しい物を購入する必要はなく、レンタルで借りることもできます。ここでは、オフィス什器のレンタルと購入のメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。

オフィスの什器をレンタルするメリット・デメリット

オフィス什器をレンタルするメリットは、初期費用を大幅に削減できることです。オフィスの移転や新設は、物件を契約したり、内装の工事をしたりと多くの費用がかかります。事業を始めたばかりの段階では、「なるべくコストを抑えてオフィスを構えたい」と思う方も多いのではないでしょうか。レンタルは毎月決まった料金を払うだけでオフィス什器をそろえられるため、手間やコストを抑えて必要な備品や家具を導入できます。また、レンタル料金を経費として計上できるため、税金を抑えられる効果もあります。

一方、レンタルのデメリットは契約期間が終了したら返却しなければならないことです。また、契約によって原状回復義務もあるため、借りた物は契約時の状態に戻して返却しなければなりません。その場合、汚れがひどかったり、破損してしまったりした場合は修繕費用がかかるので注意しましょう。

加えて、レンタルは初期費用を抑えられる一方、長期間借りる場合はかえってコストがかかりやすい面もあります。レンタル料は手数料や保険料などが含まれているため、「購入したほうが割安だった」というケースも少なくありません。レンタルする場合は比較的短い期間にとどめ、将来は購入を検討したうえで活用するとよいでしょう。

オフィスの什器を購入するメリット・デメリット

オフィス什器を購入するメリットは、それらの所有権が得られ、返却期間などを気にする必要がないことです。デザインや機能などの選択肢も豊富なため、求めるイメージのオフィスをつくりやすい面もあります。最初にコンセプトに合った適切な什器を購入できれば、レンタル料などの支出もなく、それらを長く使えるでしょう。レンタルは長期間利用するほどコストが上がっていきますが、購入した什器は長く使えばその分コストが削減できます。

一方、購入のデメリットは初期費用がかかりやすいことです。企業の規模にもよりますが、いちどに多くのデスクや椅子、OA機器、備品などを購入すると高額な費用がかかるでしょう。しかし、全てを新品でそろえる必要はなく、場合によっては中古品を検討する方法もあります。業務に必要な機器などは新しい物を購入し、デスクや本棚などは中古品を検討するなど、備品によって使い分けるとよいでしょう。オフィス移転の場合は、既存の備品を再利用するのもおすすめです。

使わなくなったオフィス什器の処分方法について

見落としがちなのが、使わなくなったオフィス什器の処分方法です。それらは一般家庭のごみとは違い「産業廃棄物」「事務系一般廃棄物」という扱いになります。産業廃棄物として扱われるのは、金属製のオフィス家具、カーペット、パーテーションなどです。一方、木製のオフィス家具は事務系一般廃棄物として扱われます。

それらはどちらも許可を得ている専門業者に処分を依頼しなければならず、処分に費用がかかります。自分で処理場に運搬する方法もありますが、全ての事業者に該当するわけではなく、従業員数や資本金が一定に満たない中小企業に限られているので注意しましょう。

処分する什器や依頼する作業員の数、業者などにもより一概には言えませんが、一般的に1.5トン車で6〜7万円ほど、4トン車で15万円ほどの費用を想定しておくとよいでしょう。オフィス退去時にそれらの費用がプラスされるため、処分にかかるコストを削減したい場合はレンタルも視野に入れるとよいかもしれません。


オフィス什器とは、家具や消耗品、備品、家電などオフィスで日常的に使用する全ての物を指します。目指す内装デザインや求める機能性などによってさまざまな選択肢があるため、企業に必要な物をしっかりと見極めることが大切です。また、必要な什器を全て購入するとなると多くの初期費用がかかるため、それらの負担を減らしたい場合はレンタルを検討する方法もあります。

まとめ

オフィス什器は企業によって必要な種類や機能性などが異なります。デスクや椅子、パーテーション、本棚などは多くの企業に共通する什器であるものの、業務の内容や性質などによって適切な物を選ぶとよいでしょう。

オフィス什器を導入する方法は、購入やレンタルなどが挙げられます。購入はイメージに合った什器をそろえやすいメリットがありますが、初期費用は高くなりがちです。一方、レンタルは導入の手間やコストを削減できるメリットがありますが、長期間の利用はかえって割高になることもあります。それぞれの特徴を理解し、条件に合う物を選ぶことが大切です。また、物件によっては什器がそろっている居抜きやセットアップオフィスもあるので、それらを検討するのもおすすめです。その際は、居抜き・セットアップオフィス専門であるValue Officeのサービスを利用するとよいでしょう。